MY HERO’S INTERVIEW

Vol.4『信念を曲げずに“生涯現役”』

立河宜子(以下、立河):先生は今も研究を続けてらっしゃいますけども、このお仕事を辞めたいと考えられたことはないのでしょうか。

鈴木喬(以下、鈴木):うーん。何でやっているんだろうなと思うことはあるけど、まあ、結局好きなんだろうね。あ、僕はねぇ。実は今も後悔しているんだけど、本当はシェフになりたかったの。自分で理想のモノを求めることができるでしょ。そういえば、資生堂に入った時、味覚のテストっていうのがあったんだよ。

立河:味覚のテストは、官能評価(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)のひとつですね。そのテストがあったんですね。

鈴木:そうそう。これが以外と良かったんだよ。結構いい線いってた。『これは……!』とその時思ったんだけど、まあ、しょうがないね。資生堂に入っちゃったからね。

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立河:先生は今年77歳になられるということですが、このコーナーのテーマでもある、先生の“アイデンティティ”をぜひお聞かせください。

鈴木:うーん……。そうだなぁ、あんまり僕そういうのはないんだけど、いうなれば“生涯現役”かな。

立河:いい言葉ですね!

鈴木:何だかんだいっても、この仕事をずっとやってるような気がするよ。たぶんこの年になって、いまだにビーカー振ってる人、ほかにはいないんじゃない……?

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立河:研究をずっと続けていくことが先生の“アイデンティティ”でしょうか?

鈴木:そうだね。あ、あとはねずっとゴルフはやりたいの。今の僕はゴルフがメインなわけ(笑)。エージシュートを目指したい。75歳のときにスコアが76だった。

立河:スコア76! あと1打!それでもプロ並みですね!

鈴木:昨年は忙しくてゴルフやる時間なかった。やらなかったらへたになるからねぇ。ゴルフをほんとうはもっとやりたい。もっといいスコアがでるとおもうんだよね。何事も、やりだしたら目標を達成するまでやりたい。

立河:猪突猛進なんですね。今回は、先生の意外な、新しい一面を見せていただきました。変なお膳立てや演出がお嫌いなところとか(笑)。

鈴木:僕は、本当のことしかいわないからね。でもさ、日本の企業では本当のことをいうと上司から『なぜ俺の足をひっぱったんだ』と言われてしまう。ぼくはね、ひっぱったわけじゃないの。本当のことを言っただけなのにね。だから僕は組織にはむいてない。

立河:その信念を曲げないからこそ、今の先生がおありなんですね。

鈴木:あとね、資生堂を定年退職してから今も本当にいろいろ研究してきてるけどこれだけはハッキリ言える。僕は乳化技術に関してだけは絶対に誰にも負けない。

立河:先ほど生涯現役! と仰っていましたが、乳化技術は、先生の“アイデンティティ”そのものなんだと思うんです。肌と同じ構造、“構造”というと女性にはなじみのないの言葉なので難しく感じてしまいますが、肌の基礎となる潤いを浸透・持続させる「ラメラ」の技術っていうのは本当にここだけに留めておくのはもったいないと思っていました。

鈴木:うん。だから将来的にはね、薬のベースにできればなって思ってる。ラメラテクノロジー(※1)はいいことづくめだからね、本音をいうとこれは化粧品にはもったいない。安全性も高いから化粧品じゃなくて外用剤のほうに活用できたら嬉しい。第二世代の化粧品ということになるかな。

立河:ラメラテクノロジーが第二世代の化粧品になるかもってことですね! 今後がとても楽しみです。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

※1「ラメラテクノロジー」・・・(世界特許取得 特許番号3987551・3987552 US 7534369 EP 1801184・EP 1801185)

〜*〜*〜*〜* Thank you messege from Noriko Tachikawa *〜*〜*〜*〜

鈴木喬さま
先生に初めてお会いしたのが6年前。先生のお話は全てが新鮮、かつブレのない実直さと誠実さを兼ね備えていらっしゃって心底感動しました。化粧品は夢も大事。けれどその陰では何よりも安全性にこだわり続けた先生の職人魂が宿っています。べらんめい調も先生ならではの愛情。これからも先生の作る化粧品を私はぜひ使い続けていきたいですし、少しでも多くの方に知っていただきたいと思います。“生涯現役”応援しています!

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許可をいただき、研究所へお邪魔いたしました。

「What is your identity? MY HERO’S INTERVIEW」
次回更新は4月7日(予定)。新しいゲストをお迎えいたします。お楽しみに!

取材/文 SUZUKA YAKABE

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Vol.1 『むちゃくちゃ遊んだ。勉強は嫌い』
Vol.2 『僕は偉くなれない』
Vol.3 『敏感肌は化粧品会社の罪!?』
Vol.4 最終回『信念を曲げずに“生涯現役”』

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